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KUMAN:子育てを通じて地域とつながる熊野寮

2018/02/07 16:14 公開
profileRyo TAKADA

京大生が地域の子どもたちの勉強を見たり,一緒になって遊び面倒を見ている活動をしているーしかも無償でーこのことを知った親御さんは,一度行ってみたいと思うだろう.この塾と公民館のような機能を持った取り組みがKUMANだ.場所はあの熊野寮。ここ数年で地域コミュニティの核へと変貌しようとしている熊野寮の現在を紹介する.

KUMANってなんじゃらほい

「名前は完全に某社のパクリっすね」
あっけらかんとそう話す彼がKUMANを始めた。京大熊野寮在住の川口航さんだ。KUMANとは、熊野寮で不定期に開催されている催しもので、地域の子どもたちを集めて寮生が子どもの勉強を見てあげたり、一緒になってボードゲームや卓球をしたりするイベントだ。夏休みの自由研究を一緒にやったり、大学教授が実験をしてくれたこともある。しかも無償である。なぜ始めようと思ったのだろうか。

赤いシャツにハーフパンツでウロウロしながら、子どもたちを見てまわる川口さん。晩夏の暑さのなか、昼過ぎの熊野寮ロビーは寮生と地域の子どもたちとで賑わっていた。

川口さんとKUMAN

「おれ自身が、自分の手でなんか作りたかったって気持ちはでかいです。子どもは好きでしたし」
どっしりと一語一語噛みしめるようにしながら、川口さんは話しはじめた。もともと子どもが好きだった彼は、大学入学後、塾のアルバイトを見て回ったが、「なんか違う」という感じを拭えなかったという。そこで教えられる知識は画一的だったし、多くの塾では一度に1〜2人の子どもしか教える事ができなかった。どうせやるなら、もっと大勢の子どもと関わりたい。

KUMANのスケッチ

川口さんがKUMANを始めるにあたって、なんとなくイメージしていたものは、彼が中学のときにお世話になっていた学習塾だ。その塾ではもちろん勉強するのだが、ためになりそうな漫画がおいてあったり、塾生どうしが勉強を教えあったり、お喋りしたりしていた。ともすれば学習塾は競争で殺伐としがちだが、その塾では、塾生どうしが自然と助け合うコミュニティのようなものができていた。これに大学生を巻き込んだら、もっと面白くなるかもしれない。

KUMANに来た子どもに、自分の耕した畑の酸性度を計測してもらう熊野寮生。夏休みの良い自由研究になったそうだ。

KUMAN始動

そんなこんなでKUMANを始めようと思い立ってからは、川口さんは熊野寮で働いている食堂の厨房員さんに話をもちかけたり、ビラを近所に配ったり、町内会のおまつりで宣伝したりしながら、少しづつ子どもたちを集めて、KUMANを開催した。2016 年の夏休みには6 日間でのべ20 人の地域の子どもたちが熊野寮を訪れた。その活動に目を留めたNPOと一緒になってやった事もある。

KUMANにて、勉強をする子どもたちと、それを見ている川口さん

KUMANを実際やってみて

コミュニティづくりを意識したのが功を奏したのだろうか。熊野寮に来てくれた地元のお母さんたちから、KUMANは好意的に受け止められている。寮生が子どもたちを見ている間、お母さんは情報交換をしたり、寮生と話したりしている。私語厳禁の学習塾とは大きな違いである。「KUMANって、なんか公民館みたいな感じなんですよ」と、川口さんは言う。今後は大規模なBBQなど、手を変え品を変えながら、交流を深めて行きたいそうだ。今後のKUMANに期待である。

KUMANのお手伝いで物理学実験をしてくださった京都大学大学院人間・環境学研究科の阪上雅昭教授