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「カレーになりたい」 その愛は縦横無尽。 京大カレー部・石崎楓の「全てをカレーにする野望」とは

2017/03/20 14:53 公開
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編集部の企画会議で、いち早く名前が挙がった謎の団体「京大カレー部」。京大生ならその名を知らぬものはいない。

その創設者で京大「〜〜学部地理学専修3回生」の石崎楓さんに、その圧倒的なカレー愛を語ってもらいました!

「カレーになりたい。そして全てをカレーにしたい」

一見狂気じみているこの言葉に隠された情熱と哲学。読み終えた頃にはあなたも、カレーを拝まずには居られなくなるはずです(!)

京大カレー部?? カレーで出版??

すみません、そもそもカレー部ってのはなんなんでしょうか。


「 2010年総合人間学部で生まれた、カレーを愛でる団体です。割とゆるっとした活動ですよ。むしろカレーに本気になっちゃうと大変だから、部員達には兼部を強く推奨してます。

あと最近、カレー部の活動を本にして出版しました。」


出版まで!? つまり石崎さんは、カレーに本気になっちゃって大変なんですね……

京大カレー部スパイス活動

出典:www.amazon.co.jp

君たちはカレーを知らない

でもカレーっていう一つの料理にそこまで入り込めるなんて、インド人並みですね……

「それ、誤解です。カレーは一つの料理じゃない。カレーってジャンルなんです。」

カレーが、ジャンル?

「インド人がカレー好きすぎてカレーしか食べてない、じゃなくて、カレーって『和食』くらい広い幅を持ってるんです。」

いやいや和食って色々あるじゃないですか!

「和食の味って、基本は醤油・出汁・みりん・砂糖・酒・味噌で、それと具材の組み合わせじゃないですか」

まぁ、言われてみれば。

カレーだって物凄い種類のスパイスと具材の組み合わせなんです。だから全然飽きないし、めちゃくちゃ幅広い世界なんです!」

そうだったのか、カレー。
完全になめてました……。インド人は偏食だとか思っててゴメン……。

カレーとの運命の出会い

そんな石崎さんがカレーに目醒めたのっていつだったんですか?

「中2の時に、初めてちゃんとしたインドカレーを食べて、物凄い衝撃だったんです。
色々入っててめちゃカオス。なのにまとまってて、めちゃ美味しい。

中学校の女子社会で暗黙の規範に従って生きるのに疲れていた私は、ここに一筋の光明をみたんです。
私にとっての中二病の対象はカレーだったんだと思います」

カレー中二病……

「それからは1時間とか掛けてカレー食べに行ったり、高校でも友達とひたすらカレー屋巡りしたり」

中二病から今まで続いちゃってるわけですか。

こんなものを毎日食べている人たちはいったい何を考えているのか。インド哲学に興味を持ったのが、京大文学部を目指したきっかけでした。

京大志望理由もカレーなんですか!! 尋常じゃない……

「インドは親の許可が下りなかったので、入学後はアイセックのインターンとかで何度もインドネシアに行きました。知らないところに行きたいって気持ちが強くて」

ひたすらカレーに突き動かされてますね……

休学:農村に引きこもり

「それから、農業や農村の暮らしをもっと知りたいと思って、2回生終了時に1年間休学をしました。

地元である富山県の山の中の農場で、田植えから稲刈りまで研修生としてひたすら働かせてもらいました。」

また突然の行動力ですね。

「ずっと生みたての卵を拭く作業してたり、ずっとニンジン洗ってたり」

それ、辛くないですか?

「大変だけど、山の農地から見下ろすと見える、里に住んでる人たちが、
きっと今晩、このニンジンを料理して食べるんだろうなって思ったら、すごくやりがいがあったんです」

自分の作業が、そこに住んでいる人たちの生活と直結していたんですね。

「1年間やってみて分かったことは、『一年やっても農業のことは何にも分からない』ってことでした」

え、1年間やったのにですか?

「私も、 休学を決めたときは、1年やればわかるようになるんじゃないかって思ってたんです。でも農業って1年で一回りだから、一回しかできない。全部が新しくて、一回みただけじゃ何もできない。赤ん坊みたいでした」

1年やっても何にも分からない。きっと、全力で体験したからこそ、そう言えるんでしょうね。ちょっと調べただけで分かった気になってしまうことの、なんと多いことか。

「カレーにせずにはいられない!」

「そうやって目の前で丹精込めて作られてる食材たちを見たら、もうカレーにするしかないじゃないですか! 作りたくてしょうがなくなるっていうか」

カレーにするしかなくなる……ちょっとついていけない境地ですが

「でも、これ食べたら絶対美味しいだろうな〜〜ってものを前にすると、料理したくなりませんか? 料理してるっていうよりも、料理させられてる感じ

それはちょっと分かる気もします。とれたての魚とか、「早く食べたい! パリッと塩焼きにしたい!」って思ったりしますね。

食材の裏にあるストーリーを知ってるからこその感動。スーパーで買ってるだけじゃ、味わえないし、忘れちゃうような感覚かもしれません。


魂が昇天するような体験があるかどうかだと思うんです。

紫芋の収穫をしてた時。畑中のお芋を一心不乱に掘って、掘り終えて、ふと、千切られた茎から白い汁が滲んでるのが見えて。

あぁ、生きてたんだ。私は生きてた芋を、ひたすら殺してたんだって。頭ではもちろん分かってたけど、何だか急に気づいて」


石崎さんの「知っていること」は、普通の「知っている」とは全然レベルが違うんでしょうね。体に染み込むように、知っている。

「私は農業をひたすらしてて、そういう瞬間にたくさん出会った。

だから世界中で行われている農業や食の実践をもっと知りたいと思えるし、 そういう感動をみんなにも伝えたいって思うんです」

京大祭「京大をカレージャック!」

「それから、いろんな地域に行っては、そこの食材を活かしてカレーを作るようになりました。

どの山にも、どの海にも、自然から食を取り出す営みがある。平たく言えば、そこにしかないすごい食材がある。
それを、地域丸ごと、カレーにするんです」

地域をカレーに。きっと普段忘れているような、味や栄養だけじゃない、いろいろ合わさった美味しさがあるんでしょうね。

「本当にそうなんです。それをみんなに知ってほしくて、京大の学園祭NFで、カレー部で本気で屋台をやりました。学園祭の屋台の料理って全然本気じゃないでしょ?」

まぁ、模擬店でしかないですからね普通は。

「でもカレー部は、部員一人一人の集大成のカレーを全力で作って、2500食売って、125万売り上げました」

本当に美味しかったって、話題になっていました。それにしても、売れすぎてますねそれは……。

私にとって、カレーは「表現」

私にとってカレーって、歌手にとっての歌みたいなものなんですよね」

カレーで何かを伝えてるってことですかね……?

食材の裏にあるストーリーを、食べて感じてもらいたい。しかもカレーってエンターテイメントでもあるんです」

(もう何でもカレーだ……)

アウェイをドカンと打ち破る、みたいな。全然知らない人でも、食べたら仲良くなれるし。歌って楽しくなるのと同じで、空気を一気に変えられるんです

私たちはそれを、カレーテロって言ってます。 」

テロ並みの破壊力なわけですね。

「カレーを作るのが好きなのは、それが好きだからだと思います」

インドも丸ごと、カレーにする旅 

「休学が終わろうとしてる時に、行くなら今しかないと思って、ついにインドに旅立ちました。

とりあえず山に行けば、食材があるって知ってたから、農村NGOで働きながら、農村を巡って、 約3か月間、インド亜大陸をぐるっと一周しました。」

ただの海外旅行とはどうやらレベルが違う。本当に潜り込んでいる感じですね。

「人種も言語もそれぞれ違って、 自然環境も違うので、農業も違う。採れるスパイスも違う。食文化も違う。それぞれの地域で、地域の食材を最大限活かしたカレーが食べられていました。 」

インドのカレーを味わい尽くしてきたんですね。

「日本に帰って、復学して3回生になってからは、とにかく勉強してます」

大自然での大冒険から一転して、今度は勉強ですか。

「いろんな場所で その土地の食と農を体感する経験ができたからこそ、
現場の情報に押しつぶされずに、ちゃんと知識を持って分析して人に伝えられるようになりたいって、思えたんだと思います」

切り開かなきゃ、生きられない 

恐ろしいほどの行動力と、貪欲な感性。でも、一体何が石崎さんをそこまで突き動かして来たんですか?

「それは生きづらさだと思います」

生きづらさ……?

「小さい頃から、周りと同じようには何もできなかったんです。 私は妹が3人いるんですけど、妹たちと比べられて、『あなたはダメね』って言われ続けて来た。

でも、 だからこそ何か周りの人にはできないことができるのかもしれません 。思い立って京大に受かっちゃったのもそうです。だから、普通の場所じゃなくて、どこか別のところを切り開かないと生きていけないと思うんです」

ここじゃダメだ。どこか別の場所へ。そういう強迫観念にも似た推進力が、石崎さんをここまで連れて来たんですね。

「自分は人と違うけど、自分と違う人たちも包容できる人になりたいんです。

よく『カレーになりたい』っていうんですが、それは冗談じゃなくて、『いろんなものを包容できて、カオスだけど、でもめっちゃ美味しい。』そういう人になりたいんです。」


人と違う自分を強く意識しているからこそ、カオスを受け入れたいという切実な意志を持っている。

それが石崎さんの哲学で、そしてそれは、カレーと分かち難く結びついているのです。


どんな具材でも、カレーにしたらカレーとしてまとまっちゃう。 しかも美味しい。

どんな食材でも、美味しいカレーになるんです。全部カレーにしたいです」


「学生をちゃんとやめなきゃと思ってます」

カレーを目指す石崎さんは、これから、一体どうしますか。

就活しようと思ってます。少なくとも、学生はちゃんとやめなきゃって思ってます」

ちょっと意外かもしれません。このまま突っ切って行きそうなのに。

「ここまでの道のりは、気づいたら来ていたって感じなんです。

でもこうやって、なんでもない個人として、ひたすら受け取っていられるのは学生の特権で、でもそれはどこかで終わらないといけない」

これは僕もちょっと耳が痛いです。

「これまで受け取ったものをちゃんと消化して、どこかにまた出ていかないといけないと思ってるんです」

でも石崎さん、きっとあなたなら、就活もカレーにしてくれますよね?

「そのつもりです笑」

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こんな思いとストーリーの詰まったカレー、美味しくないはずがない。
これからもその行動力で、きっと誰も見たことのないカレーを、作ってくれるはずです。